相続放棄を利用すべきケースについて

相続放棄を利用すべきケースについて

自分が相続人になった場合の対応方法としては、単純承認と相続放棄と限定承認の3種類があります。
この中で、相続放棄をすべき場合とは、どのようなケースなのでしょうか?
相続放棄をすると、マイナスの負債だけではなくプラスの資産も相続出来なくなるので重大な影響があり、正しい利用方法を知っておく必要があります。

そこで今回は、相続放棄をすべきケースについて解説します。

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借金を相続したくない場合

相続放棄とは、遺産相続を一切せずにすべての遺産を放棄してしまうことです。
相続放棄をすると、その人ははじめから相続人ではなかったことになるので、プラスの資産もマイナスの負債も一切受け継ぐことはありません。
そこで、相続放棄をすると、被相続人が多額の負債を負っていたケースであっても、それを相続せずに済みます。
このように、相続放棄は、借金を相続したくない場合にとても役立ちます。

被相続人が事業用ローンで数千万円の負債を負っていたケースや、交通事故を起こして多額の損害賠償債務を負っていたケースなどでは、相続放棄することによってそれらの支払いを免れることができるので、大きなメリットがあります。

遺産分割協議に参加したくない場合

相続人になっている場合には、基本的に遺産分割協議に参加して、他の相続人との話合いによって遺産分割をしないといけません。
遺産分割協議とは、誰がどの遺産を相続するかを決めるための話合いです。この協議が整わないために遺産問題が紛糾して、相続トラブルが起こることも多いです。
それほど多くの遺産がなくても相続人同士が骨肉の争いを繰り広げる例はあります。

遺産分割協議には、相続人全員が参加しなければならないので、自分が遺産に関心を持っていなくても、他の相続人が争っていたら延々その遺産争いに巻き込まれることになります。
そこで、このような遺産分割協議が煩わしいので参加したくなく、遺産に対しても関心がない場合には、相続放棄が役立ちます。
相続放棄をすると、相続人ではなかったことになるので、以後一切遺産分割協議に参加する必要がなくなります。

他の相続人に遺産相続させたい場合

相続放棄は、他の相続人に遺産相続をさせたい場合にも役立ちます。

相続人が複数いる場合には、たとえば家を継ぐ長男に全部遺産を相続させたい場合など、他の相続人に遺産を集中させたいケースがあります。このようなとき、被相続人が遺言によって「長男に全部相続させる」と書いてくれていたら良いですが、そうでない場合には、法定相続分に従って遺産分割が行われることになります。
そこで、自分は遺産に関心がなく、他の相続人に遺産相続させたい場合には、相続放棄をすると自分の相続分が他の相続人のものになるので、便利です。

ただ、他の相続人が複数いる場合には、それらの相続人全員に自分の相続分が割り振られるので、特定の人に自分の相続分すべてを譲ることができません。
特定の相続人に相続分を譲りたい場合には、相続分の譲渡という手続きをとる必要があります。

借金があるのに他の相続人が単純承認してしまった場合

遺産の中に借金があるけれども、他に預貯金などもあるので、相続放棄をせずに限定承認をしたいケースがあります。限定承認をすると、プラスの資産とマイナスの負債を差引計算して、プラスの資産が多ければその分を相続することができるからです。

ただ、限定承認をする場合には、相続人全員が共同して行う必要があります。共同相続人のうちひとりでも単純承認してしまったら、限定承認はできません。

そこでこのような場合、借金を免れたければ相続放棄をするしかありません。
相続放棄をすると、マイナスの負債だけではなくプラスの資産も諦めなければなりませんが、共同相続人が単純承認してしまった以上、借金を免れるには相続放棄するしかありません。

このように、遺産の中に借金とプラスの資産の両方があって、本来なら限定承認したいと考えている場合であっても他の相続人が単純承認してしまったら、相続放棄によって対応する必要があります。
以上のように、相続放棄が役立つケースはたくさんあります。手続きについて正しく理解して、上手に利用しましょう。

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